事業再構築補助金は、個人事業主を含む中小企業が新分野展開や業態転換など思い切った事業再構築をするのに活用できる補助金です。
「自分や自分の買いたいものは補助対象になるの?」
「でも補助金ってルールや条件がたくさんあって面倒くさい・・・」
「募集要項や説明資料は文字だらけ!こんなの読みたくない・・・」
と思いますよね?
しかし、事業再構築補助金は補助される金額が数千万円規模と大きく、
個人事業主・法人共に採択率が高い(8回目:51.3%)ため、
狙わない手はありません!
10回目の申請締め切りは、令和5年6月30日18時 までです!
そこで、経済産業省「事業再構築の指針」に基づいて、中小企業診断士が事業再構築補助金について徹底図解しました!
もくじ
Ⅰ.事業再構築補助金の対象になるには?
(1)まず、3つの要件を満たしているかチェック!【※1】
①新しい製品をつくる(製品等の新規性要件)
☑過去に製造した実績がない
例1:「日本料理店」で店内で食事を提供していたが、持ち帰り用の惣菜は作ったことがない。
例2:「金属用金製造業」で自動車用部品を製造していたが、航空機用部品は製造したことがない。
☑性能または効能が異なる ※定量的に測量できる場合
例:従来製造していた自動車用部品の強度は○○、精度は○○だったが
今後製造する航空機用部品の強度は××、精度は××である
②新しい顧客層を対象とする(市場の新規性要件)
☑既存の製品と新しい製品では対象とする顧客層が異なる
例1:「日本料理店」で従来は外国人観光客を対象だったが、今後は地元企業のビジネスマンを対象とする
例2:「金属用金型製造業」で、金型部品を自動車メーカー向けに製造していたが、今後は航空機メーカー向けに製造する
③売上高構成比要件(「新市場進出」の場合は「新市場売上高10%等要件」)
☑3~5年以内に、新たな製品の売上高が総売上高の10%以上になる
経済産業省は、「事業再構築」を「新市場進出」「事業転換」「業種転換」「事業再編」又は「国内回帰」の5つのタイプに分けています。
事業再構築のどのタイプにあてはまるかチェックしてみましょう!
(2)「事業」と「業種」をチェック!【※2】
①自分の事業の「業種」「事業」を調べます。
現在、売上高が最も多い事業の分類を「日本標準産業分類」で調べましょう。
総務省「日本標準産業分類」
日本標準産業分類(平成25年10月改定)(平成26年4月1日施行)
https://www.soumu.go.jp/toukei_toukatsu/index/seido/sangyo/H25index.htm
例:日本料理店で売上高の9割が飲食の売上だったら
大分類「M 宿泊業、飲食サービス業」
中分類「76 飲食店」
小分類「762 専門料理店」
細分類「7621 日本料理店」
となります。
この場合、
「業種」は、大分類「M 宿泊業、飲食サービス業」です。
「事業」は、中分類「76 飲食店」、小分類「762 専門料理店」、細分類「7621 日本料理店」
となります。
例2:プレス加工用金型の下請製造業者で売上高の53%が金型の売上だったら
大分類「E 製造業」
中分類「26 生産用機械器具製造業」
小分類「269 その他の生産用機械・同部分品製造業」
細分類「2691 金属用金型・同部分品・附属品製造業」
となります。
「業種」は、大分類「E 製造業」です。
「事業」は、中分類「26 生産用機械器具製造業」>小分類「269 その他の生産用機械・同部分品製造業」>細分類「2691 金属用金型・同部分品・附属品製造業」
となります。
②将来自分がやりたい事業の分類を「日本標準産業分類」で調べます。
調べ方は①と同様です!
③現在の事業の分類と、将来の事業の分類を比較してみましょう!
【タイプ1】 業種・事業が変わらない場合 ⇒「新市場進出」
【タイプ2】 事業が変わる場合 ⇒「事業転換」
「日本標準産業分類」の細分類・小分類・中分類を変更する場合
例:「飲食店」⇒「持ち帰り・配達飲食サービス業」(中分類の変更)
「金属用金型・同部分品・附属品製造業」⇒「ロボット製造業」(細分類の変更)
【タイプ3】 業種が変わる場合 ⇒「業種転換」
「日本標準産業分類」の大分類を変更する場合
例:「宿泊業、飲食サービス業」 ⇒「卸売業,小売業」(大分類の変更)
「製造業」 ⇒「情報通信業」(大分類の変更)
【タイプ4】「事業再編」
会社法上の組織再編行為(合併や事業譲渡など)を交付決定後に行い、
新たな事業形態のもとに、「新市場進出」「事業転換」「業種転換」の
いずれかを行います。
【タイプ5】「国内回帰」
海外で製造等する製品について、国内の生産拠点を整備します。
自分は補助対象になるのか? 分からない場合は、ご相談ください!
Ⅱ.事業再構築補助金ではいくらまで補助を受けられる?
(1)自分の申請枠をチェック!
事業再構築補助金には「成長枠」「グリーン成長枠」などの7つの申請枠があります。
申請枠によって、補助を受けられる上限額が変わります。
どの申請枠があてはまりそうか、チェックしてみましょう!
①成長分野に進出するか?【※1】
☑ 取り組む事業が、過去~今後のいずれか 10 年間で、市場規模が 10%以上拡大する業種・業態に属している。
具体的には「事業再構築補助金」のホームページで「成長枠対象業種・業態リスト」が公開されているので、チェックしてみましょう!
成長枠対象リスト 2023年3月30日版
②事業規模を大幅拡大するか?【※2】
☑ 補助事業終了後3~5年で中小企業・特定事業者・中堅企業の規模から卒業する。
③従業員の従業員の大幅賃上げ・増員するか?【※3】
☑ 補助事業終了後3~5年の間、事業場内最低賃金を年額 45 円以上の水準で引上げる。
☑ 補助事業終了後3~5年の間、従業員数を年率平均 1.5%以上増員させる。
④グリーン成長戦略に貢献するか?【※4】
☑ グリーン成長戦略「実行計画」14 分野に掲げられた課題の解決に資する取組である。
☑ その取組に関連する1年以上の研究開発・技術開発又は従業員の一定割合以上に対する人材育成をあわせて行う。
出典:経済産業省「グリーン成長戦略(概要)」
⑤売上が10%以上減少しているか?【※4】
☑ 2022 年 1 月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が対 2019~2021 年の同 3 か月の合計売上高と比較して10%減少している。
上記を満たさない場合
☑ 2022 年 1 月以降の連続する6か月のうち、任意の3か月の合計付加価値額が対 2019~2021 年の同3か月の合計付加価値額と比較して15%以上減少している。
⑥最低賃金+30円以内で雇用している従業員が10%以上いるか?【※6】
☑ 2021 年 10 月から 2022 年 8 月までの間で、3 か月以上最低賃金+30 円以内で雇用している従業員が全従業員数の 10%以上いる。
⑦過去~今後10年で市場が10%以上縮小するか?【※7】
☑ 現在の主な事業が過去~今後のいずれか 10 年間で、市場規模が 10%以上縮小する業種・業態に属している。
☑ 当該業種・業態から別の業種・業態に転換する。
具体的には「事業再構築補助金」のホームページで「成長枠対象業種・業態リスト」が公開されているので、チェックしてみましょう!
産業構造転換枠対象リスト 2023年3月30日版
(2)どのくらい補助をうけられるかチェック!
事業再構築補助金では従業員の数によって、補助上限額が変わります。
該当する申請枠では、どのくらいの補助金がもらえるかチェックしてみましょう!
中小企業か中堅企業かで、補助率(全体の費用のうち補助してもらえる割合)が変わります。
該当する申請枠では、どのくらいの補助率かチェックしてみましょう!
※1:大規模賃上げを行う場合(事業終了時点で、①事業場内最低賃金+45円、②給与支給総額+6%を達成する)
Ⅲ.自分が買いたいものは補助対象になるの?
事業再構築補助金では、「その事業のためだけに使われるものやサービス」が補助対象です。
住居や賃貸物件の購入や、事業以外でも使えるPCや自動車、サーバー費用などは対象になりません!
Ⅳ.まとめ
☑ 事業再構築補助金に申請するには、「新しい製品をつくる」「新しい顧客層を対象とする」「新しい製品の売上が総売上の10%以上になる」ことが必要です。
☑ 新事業に応じた申請枠、従業員の数によって、補助が受けられる金額が決まります。
中小企業の場合、補助額は100万円から最大8000万円です。
☑ 補助金で購入できるものは、「新事業専用に使う設備やサービス」のみです。
住居・賃貸物件の他、新事業以外でも利用できるもの(PCや自動車、サーバーなど)は補助対象外です。
個人事業主の方で事業継続するための悩み事などございましたら、無料でご相談承りますので、ひとりで悩まずにご連絡ください。